蘇える優作「探偵物語」特別篇

監督:村川透(第1話:村川透/第5話:澤田幸弘)
出演:松田優作(工藤俊作)/成田三樹夫(服部)/山西道広(松本)/竹田かほり/ナンシー・チェニー

第1話

緑魔子/熊谷美由紀/佐藤蛾次郎/山谷初男/団巌

第5話

水谷豊/原田美枝子/古尾谷雅人/村松英子/片岡五郎
スタッフ:脚本−丸山昇一/撮影−1:仙元誠三,5:杉本博幸/音楽−SHOGUN
原案−小鷹信光/編集−鍋島惇/助監督−小池要之助/美術−佐谷晃能
《メモリアルフィルム》撮影−仙元誠三/編集−阿部嘉之/選曲−薄井洋明
ナレーション−竹中直人/監修−山口猛/企画・製作−黒沢満
製作年:1998年(オリジナル:1979年)
時間:105分
製作:セントラルアーツ/東映
媒体:VIDEO(東映)
備考:ヴィスタ+スタンダード

5本の出演映画のシーンと1本のスチル、ロケ地の現在の映像などを竹中直人のナレーションで綴ったオマケで挟み、TV『探偵物語』の第1話「聖者が街にやって来た」と第5話「夜汽車で来たあいつ」の2本を劇場公開した《特別篇》

劇場用映画やオマケ映像と比べると画質の粗さが目立ってしまった。とはいえフィルム撮影されていたお陰かビデオ撮りされたTVドラマの劇場公開よりは遥かにましではあるが…。デジタル技術を駆使したお色直しには至らず、能谷美由紀や不老屋雅人のミス・クレジットがそのまんまなのもお手軽すぎるような。これではプロジェクターでビデオやLDを拡大して観るのとさほど変わらないのでは?また、記念すべき劇場版だというのに前売券やパンフレットが製作されないのはあまりにも空しい。先着入場者にポストカード4枚セットのプレゼントがあったが、公開7日目にしてまだ貰えてしまうのが嬉しいやら悲しいやら。

『ア・ホーマンス』のワンシーンを現在の風景の中に再現した冒頭や、『探偵物語』のロケ地の現在といった対比は実に面白かった。過去には現存した工藤ちゃんのあの街は、いつのまにか作品の中にだけ生き続けるものに変貌しつつあるのかもしれない。ファッションや風俗に改めて時代を痛感させられるが、作品そのものは時代に先行し超越したものになっていることも。美大生時代からTVの素人芸コーナーで披露していた優作の物真似が強烈(ハッキリ覚えてるんだな〜コレ)だった竹中直人がナレーションを担当したのは、声質が近いこともあって秀逸な人選。そんな彼でも優作のモノローグを声真似でやってしまったらイタコ映画になっていたはずだから、こういった形だったのも本当にホッとした。

シリーズの幕開けとなった第1話は熊谷美由紀との出逢い、第5話は盟友・水谷、結婚式の立会人もつとめた原田美枝子、外見から後継者的存在に見られがちな古尾谷、といった顔ぶれに運命的なものを感じさせられるラインナップでもある。もしこの2本目に最終話が選ばれていたら…あそこまでの積み重ねナシで切り取って見せられるのがしのびない結果となっていたような気がする。あのシリアスな最終回の真価はコミカルなシリーズ全話を経てたどりついてこそ増幅され、他の追随を許さないまでのレベルに昇華されて未来永劫輝きを放つものになる…と思えてならない。正直なところ1話完結型とはいえシリーズの中のエピソードを切り離して見せるというのはあまり意味がない気もするのだが、初放映から19年を経たTVドラマが劇場公開されるというイベントとしての快挙は心から祝いたい。(Feb.20,1998)

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